【第74回】空想戦記 -Sky Fliers Online-

前回まで、

第73回 空想戦記 -Sky Fliers Online-

ビギナーハンター

1

SEVEN
ついたわ、この洞窟よ

SEVENは目的の洞窟の入り口付近に近づき、俺に教えてくれた。

始まりの街から少し離れた位置にある。

ここに辿り着くまでに、数々のNPCをSEVENさんと2人で倒してきた。

途中で力尽きそうになったことも何度もあった。

そのたびにSEVENさんが回復をアイテムを使用してくれた。

そしてまた、NPCに立ち向かう。

瀕死→回復→戦闘の繰り返しで進み続けた。

その横でSEVENさんは軽々と敵を倒していく。

レベルの違いを見せつけられて、少しブルーな気持ちにもなる。

でも諦めずに前に進んだ。

SEVENさんに助けてもらいながら。

2

この洞窟はとてもシンプルだ。

なぜなら分岐するところがひとつもないからだ。

例えば他の洞窟だと、たくさんの道が存在してそれを 選びながら前へ進んでいく。

途中で行き止まりってこともある。

だけど、この洞窟は今のところ分岐がなく、一本道で通っている。

洞窟というよりはトンネルと言ってもいいかもしれない。

SEVEN
分岐がない洞窟を不思議に思っただろう
JINK
はい、まぁ
SEVEN
だから初心者狩りにはちょうどいい場所なのだ
トンネルみたいに一本道だから迎え打つのも簡単
シンプルに食虫植物ぜよ

(なるほど、ここは他のプレイヤーを襲うのにちょうど良い場所ってことか)

JINK
でも例えがビミョーでしたねw
ゴ○ブリホイホイでよかったんじゃないですかw
SEVEN
拙者を時代遅れの人にみたいに言うな!

サムライがモデルのキャラクターに時代遅れといわれてもなぁ。

説得力なさすぎて困る。

しかし、罠だとわかっていても進んだ。

この洞窟の奥には必ずKAHLUAがいることは間違いないから。

3

退屈な洞窟を進んだ数分後。

SEVENさんは突然歩くのをやめた。

立ち止まった理由はすぐにわかった。

KAHLUAを見つけたのだ。

しかし、俺のパソコンからはKAHLUAを確認してすることはできない。

近づきすぎると見つかってしまうから、SEVENさんの画面ギリギリの位置にいると教えてくれた。

そしてSEVENさんは[早速KAHLUAとPVをしてくれないか]という無茶振りを要求してきた。

俺はすぐに[無茶ですよ!おれのPVの実力はわかっているでしょ!]と反論した。

俺がゲームを挫折したのもPVで勝てなかったからが理由だし、なによりいきなり戦ってこいは鬼すぎる。

必死になって言い訳を並べたみたものの、SEVENさんの答えはただ一つ。

[わかっている!だからこそ行けというのだ!]

まさに鬼畜の所業だった。

4

少し歩き、画面をスクロールさせると、1体のキャラクターが見えてきた。

青と銀が綺麗に混ざった鎧をまとい、右手には槍を装備している。

キリッとした顔立ちに、逆立ってる蒼い髪。

背中には白い羽根がある。ハネツキだ。

ポインタを合わせて名前を確認すると浮かび上がったのはKAHLUA。

「こいつが、KAHLUA」

おもわずパソコンの画面に向かって呟いた。

ハネツキは強者の証だし、なによりJINKのレベルじゃとてもじゃないけど太刀打ちできない。

完全に自殺行為だというのはわかる。

だけどここで引き下がったら、男として情けない。

俺は頬を両手でパンッと一回叩き、コントローラを握り締め、KAHLUAに向かって走り出した。

つづく。

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ムツキ
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いつでもそこにいるブロガーを目指してる30代農家。 何でもアリの雑記ブログやケータイ小説などを書いてます。