前回まで、
BINGO!!参上!
1
俺は今、草原でDINAのレベル上げの為にひたすらモンスターと戦っている。
草原はゲームで最初に訪れる場所だけあって、モンスターの体力は低めに設定されているみたい。
なので、倒した時の経験値も微々たるもの。
レベル上げには物足りないのだけど、GINJI曰く「最初は数をこなして操作を体に染み込ませる」とのこと。
だからひたすらモンスターを倒している。何度も何度もだ。
繰り返し倒していると攻撃パターンや得手不得手が徐々にわかってきて、最初は手こずっていた大量のゴブリンも今は簡単に捌いている。
繰り返しの力はすごいものだと改めて感じたのだ。
そして、草原ステージの中で大きめな敵「サイクロプス」が現れた。
「こいつを倒せばまとまった経験値が手に入る」
先程までで学んだそう詐欺術を駆使し、あと1撃で倒せるその時。
横からいきなり道着のキャラクターが現れてサイクロプスを正拳突きで倒してしまった。
「俺の経験値が!」
サイクロプスの経験値があればレベルアップできたのに。
怒った俺は道着のキャラクターを追いかけて、文句を言うことにした。
2
- DINA
- あ、あのーすいません。
向かった威勢は良かったのだが、ものすごく謙虚に話しかけた。
なんかKARASみたいな乱暴なプレイヤーがいると思うと、強気に出られない。
こちら側が主張しているのに逆ギレされたらたまったもんじゃないからな。
というか、オンラインゲームであっても『人 対 人』なのは変わらないわけで、初対面の人に乱暴な言葉をぶつけるのは違うしね。ネチケットは大事。
- BINGO!!
- はい!なんでしょうか!
勢いがありそうな言葉使い。
乱暴な人じゃないのはすぐわかったのでホッとしている。
しかし、油断できたものではない。
疑い、そして構えつつもこちらの主張を伝える。
- DINA
- さっき俺が攻撃してたサイクロプスを横取りで倒していませんでしたか
- BINGO!!
- 、、、、、、、、、、、、、、、、、、
考え中なのか、わざわざ「、、、、、」だけ打って返信したのかわからない。
俺は「ふざけてるんですか」と返そうとしたその時だった。
- BINGO!!
- あぁwゴメンゴメン
正拳突きの練習をしていたらつい当たってしまってね!
違和感は残ったが故意ではないとわかったので許してやることにした。
3
- DINA
- 気をつけてくださいよ
- BINGO!!
- あれ、そういえば君は、もしかして!
BINGO!!は何かを思い出したように言ってきた。
- DINA
- 俺を知ってるんですか
このゲーム内の掲示板にチーム募集の宣伝を書き込んだから多分知ってるはず。
- BINGO!!
- あぁ、どっかで、
- BINGO!!
- 思い出した!掲示板だ!
突然思い出したかのようにメッセージが連続できた。
- DINA
- 見てくれたんですね、ありがとうございます
- BINGO!!
- 掲示板でめっちゃ叩かれてたなぁ、可哀想に!
- DINA
- ゑ?マジですか…
ビックリした勢いで文章を修正する前に送信してしまった。
そして、何かわからないけどただならぬ恐怖を感じている。
名前も顔も性別さえも知らない誰かに批判されるのはかなり怖いものだ。
- BINGO!!
- でも君はすごいよ!尊敬する!
- DINA
- …なんでですか
大多数の人が批判するならば、
それは悪
つまり悪いことだというのが一般的。
だから、BINGO!!が「尊敬する」といった発言は意味がわからなかった。
- BINGO!!
- 他人から批判されても自分の意見を通すのはすごく難しいことだよ!俺なら多分やめる!
- DINA
- そうなんですか?
- BINGO!!
- そうだよ!自信持ちなって!
BINGO!!の言葉で気持ちが楽になった。
多数の人間に否定されていても応援してくれる人は必ずいる、と教えてもらったからだ。
そして、
- BINGO!!
- 俺も仲間に入れてくれ!
BINGO!!さんから仲間になりたいと言ってきた。
- DINA
- いいんですか?俺掲示板でハエ叩きにあってるみたいですけど
BINGO!!さんは
[気にするな!是非入れてくれ!]
と迷うことのない真っ直ぐな回答を提示してくれた。
- DINA
- ありがとう!これからもよろしくお願いします!
- BINGO!!
- こちらこそよろしく!DINA君!
チャット画面には、
[BINGO!!がチーム⭐︎ダイナ(仮)に登録されました]と表示された。
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