前回まで、
最強との戦い
1
ITOSHIKI、レベルは175で体力は700、得意武器は弓矢。
一方、DINAはレベル32で体力は150、得意武器は大剣。
うん、どう考えても無謀すぎるよね。
勢いでPVを申し込んだはいいが、承認されるとは考えていなかった。
- ITOSHIKI
- 私は誰の挑戦も受けるのだ。たとえレベルの差があろうとも。
そして全力で向かわせてもらう!
まるで俺の心を読んだかのような文章が表示された。
こんなバケモノ級のプレイヤーが全力で来るんだ、中途半端な気持ちで向かってはいけない。
俺は両手で頬を勢いよく叩いて気合を入れ、コントローラをギュッと力強く握った。
- DINA
- いくぞ!!!
大剣を構えてITOSHIKI目がけて走り出した。
2
ITOSHIKIに構えていた大剣を振り下ろす。
しかし、大剣のモーションが遅いためかするりと回避され背後を取られてしまう。
「でも、この距離ならば当てられるはず」
背後を取られたが、まだ至近距離。
間髪入れずに回転斬りを発動させる。
- ITOSHIKI
- 遅い!
だが、攻撃はバック転で回避されてしまう。
そのままバック転を繰り返し、DINAとの距離が開く。
「今度は遠距離だな、よし!」
DINAにハンドガンを装備させて、ITOSHIKI狙って乱射した。
だが、しゃがみやジャンプを駆使して全ての弾丸を回避されてしまう。
ITOSHIKIに全く攻撃が当たらない。
「クソッ!なんで全く当たらないんだよ!」
太刀打ちできないのは、最初からわかっていたさ。
理解はしているけど、イライラはしていた。
格闘ゲームって、どんなプロプレイヤーだって一撃くらいは貰うのに、
ITOSHIKIには全く当たらないんだよ。
まるで俺の攻撃が全てわかっているかのようだ。
3
いや、待てよ。
そもそも攻撃しに向かっていくことが間違いで、
ITOSHIKIから動いてもらう方がいいのではないか。
攻撃モーションの隙を狙ってカウンターでダメージを与えるんだ。
俺は画面端までDINAを移動させてITOSHIKIの攻撃を待つことにした。
- ITOSHIKI
- そこで止まっていてもいいのか
- DINA
- なぜ
- ITOSHIKI
- 今弓を引いている
このまま立ち止まっていたら貴様は簡単に負けてしまうぞ - DINA
- えっ!
ITOSHIKIが放った。
飛び道具は目で追うことが難しく、弓はDINAに直撃した。
たった1撃なのに体力は80も削られ、残りは70。
「クソッ、攻撃は近距離も遠距離も当たらない。待ちの戦略を使うと弓攻撃で思う壺。一体どうすればいいんだよ…」
ITOSHIKIは今まで対戦してきたプレイヤーの中でも段違いに強い。
動きに隙がないし、与える攻撃も的確。
そりゃランキング1位になるさ。
- ITOSHIKI
- Team Xには私と渡り合える強敵がたくさんいる
私に攻撃を当てられないのなら貴様にTeam Xを止める力などない!
再び弓を引く体制で止まっている。トドメをさすつもりだろう。
4
ITOSHIKIの言う通りかもしれない。
事実俺は攻撃を当てることができてない。
それどころか相手の攻撃は全てもらっている。
レベル、実力、名誉どれも逆立ちしたって勝てるものはない。
でも…。
- DINA
- 絶対これから強くなって、倒してやるからな!
待ってろITOSHIKI!
俺は威勢を張ることをやめなかった。
ここで気持ちで負けてしまっては全て敗北になると思ったからだ。
俺は弓を引いた状態のITOSHIKIに向かって走った。
即座に弓を放ち、DINAに当たる。
DINAはその場に倒れたがなんとか耐えた、まだ体力は30残ってる。
ITOSHIKIが弓を引く動作は時間がかかり、大きな隙になっている。
「この隙に距離を縮めるんだ」
すぐに立ち上がりまた走る。
もう少しで攻撃範囲に入るところで3度目の弓を貰ってしまう。
再び倒れてしまう。
体力はラスト10。
近くなると弓矢も避けづらくなってくる。
でも諦めない。
絶対1撃でも当ててやる。
気合を入れ直し、すぐに立ち上がりITOSHIKIに向かっていった。
5
遂に攻撃範囲まで距離をつめることができた。
だがその瞬間、ITOSHIKIの弓矢がDINA向かって飛んでくる。
「ここだ!」
DINAはスライディングで弓矢を回避し、ITOSHIKIと0距離まで迫った。
「回転斬り!」
俺は無我夢中になって回転斬りをした。
ITOSHIKIは再びバック転で回避し距離を戻そうとした。
「まだまだ!」
俺は回転斬りからのコンボ技回転斬り大砲を発動。
DINAの放った大剣はITOSHIKI目がけて飛んでいき当たったのだ。
渾身の攻撃も削った体力は5。
ここでもレベルの差を見せつけられてしまった。
6
- ITOSHIKI
- まさか貴様が、私に攻撃を当てるとは…
チャットウィンドウに表示された文章には目も留めず、素手になりながらも必死になってITOSHIKIにパンチ攻撃をする。
右、左と華麗に避けられて当たらない。
- ITOSHIKI
- 攻撃を当てた褒美にひとつだけ教えてやろう
KARASは悩んでいる
もし出会ったら
メニュー画面を開いてみろ
ITOSHIKIはバック転を繰り返し、あっという間に画面の端まで到達した。
すぐさま弓を引き攻撃体制になる。
- ITOSHIKI
- Team Xに立ち向かうのなら、この先多くの強敵を戦うことになるだろう
貴様がTeam Xを倒し、
私を倒してくれることを楽しみにしている
チャットウィンドウに言葉を残し、ITOSHIKIは弓矢を放った。
続く。
コメントを残す