前回まで、
リベンジPV
1
…あの時の恨みは忘れない。
SIDは密かに闘志を燃やしている。
全力疾走でKARASの元へ駆け寄った。
- SID
- やっとみつけたよ、KARAS
- KARAS
- SID、か
- SID
- あの時のPVから今日まで一度たりとも忘れたことはないよ!
- KARAS
- 何のことだ?
怒りを剥き出してるSIDに対してKARASはとぼけた様子を見せた。
僕は関係ありませんよ的な返答だ。
- SID
- とぼけるな!私のレア装備『王家の魔杖』を奪っただろう!
- KARAS
- あぁそんなことかw
- SID
- そんなことって…許さん!返してもらう!
- KARAS
- …来いよ
- SID
- 勝負だ!
SIDとKARASのPVが始まった。
2
- 体力は180
- メイン武器は双剣
- 攻撃力と素早さを重視
- 攻撃範囲は近距離
- 称号『ハネツキ』
- 体力は270
- メイン武器は杖(魔法)
- 炎と衝撃波を操る魔法使い
- 攻撃範囲は中〜遠距離
- レベルは74
SIDのレベルは少し上昇したものの、KARASはトッププレイヤーの証であるハネツキだ。
近づかなければ攻撃が当たることはない。
SIDは画面端いっぱい後ろに下がり、KARASと距離をとった。
- KARAS
- 離れたからって、安心するなよ
瞬足を活かして一瞬で距離を詰め、KARASの攻撃が届く位置になった。
- SID
- あんたの行動なんて、前回のPVで把握済みなのよ!
SIDは杖を両手で大きく天に掲げ、KARASに向かって振り下ろす。
転倒したKARASを飛び越えて、また画面端まで一気に距離を離した。
- SID
- ファイヤーボール!
間髪入れず倒れたKARASに遠距離魔法のファイヤーボールを何発も発射した。
SIDが放った大量の火の玉は、雨のように容赦なくKARASにぶつかっていった。
3
- お知らせ
- ポイントが不足してます。
SIDは魔法を発動するためのポイントを全てファイヤーボールに使用した。
ポイントが回復するまではまだ時間がかかる。
火の玉の雨で、KARASを倒したのではないか。
だが、KARASの体力は残り90。半分も残ってしまった。
- KARAS
- おのれ!
KARASはスッとしゃがみ、勢いよくジャンプしてSIDの目の前まで近づいた。
そして右の剣で攻撃し、ヒットする。
攻撃を受けて体制を崩したSIDに追い討ちをかける。
左、右、左、そして最後は2本の剣で突き刺した。
まるで踊っているようにも見える。
SIDは攻撃の嵐をただガードして守る事しか出来なかった。
4
だが、SIDは気づいてしまった。
何度も何度も攻撃を受けているSIDの体力が、
全然減っていないことを。
そう、KARASの攻撃は派手さとは裏腹に威力はなかった。
ガードをしているのでダメージが少ないのは当然だが、前回のPVから比べると明らかに弱すぎる。
何か変だと感じ、KARASのレベルを確認した。
レベルは50。
前回のPVでは、レベル92。
40も下がっている事になる。
本来、キャラクターのレベルは下がることはない。
KARASのそっくりさんを疑ったが、同じ名前は存在しないため間違いなく本人だ。
(何なのこれ、訳がわからないよ)
レベルのことを考え過ぎて、目の前のPVを忘れていた。
SIDのガードが解かれて、ノーガードで攻撃を受けている。
KARASは右、左、右、左…と一定のリズムで攻撃する。
SIDも右、左、右、左…とKARASの攻撃を心の中で感覚を掴みながら、反撃のチャンスを伺った。
(ここだ!)
SIDのガードがKARASの攻撃タイミングと重なったため直前ガードが成功する。
KARASの攻撃が弾かれ怯む。その隙に飛び越えて背後をとり、[ソウルバーン]をKARASにヒットさせる。
続く。