前回まで、
チート
1
- DINA
- それでも助けに行かなきゃ!
- BINGO!!
- ダメだ!危険すぎる!
俺はBINGO!!さんの静止を振り切って、洞窟へ向かおうとした。
ここで立ち止まっていても何も解決されないから。
- GINJI
- DINA、もう行く必要はない
KARASは死んだ
GINJIが目の前に現れた。
洞窟へ向かおうとしてたが、GINJIの姿を確認して足を止めた。
- SID
- 死んだって…
KARASが死んだと言われても理解が追いつかない。
データが消されたってことなのか?
GINJIは[話したい事があるからついてきてほしい]とホテルの一室に案内された。
2
- GINJI
- ここなら大丈夫だろう
そこはレンタルチャットルーム。
外の会話が一切きこえないので、メンバーでゆっくり会話するには最適な場所。
チャットのランプは青色になっている。
- DINA
- ただ話すだけなら外でもいいんじゃないの?
- SID
- …他人にきかれたくないことがあるんだろう
外の会話がきこえないということはここの会話も外部には漏れない - GINJI
- SIDのいうとおりだ
KARASのレベルといいSIDは勘が鋭いね - DINA
- なんでわかったんだよ
- SID
- …空気を読め、そしたらわかる
俺はSIDにいわれた通り、『空気』って単語を何度も声に出して読んだ。
しかし、1人で『空気』と声に出しても虚しいだけ。
一体『空気』を読んで何がわかるのかわからなかった。
俺はSIDに抗議した。
- DINA
- 『空気』って声に出して読んでみたけど、何か意味あるの?
- SID
- お前はバカか
- GINJI
- ゴメン、そろそろ話してもいいかい?
GINJIは申し訳なさそうに割り込んできた。
3
- GINJI
- SIDが気になっていたレベルについてなんだが、
あれは『NATSUHA TIMER』の効果なんだ - BINGO!!
- NATSUHA TIMER…か
- SID
- NATSUHA TIMERってなんだ
- GINJI
- 簡単にいうと『レベルを一定の値まで上げてくれる不正なプラグイン』のことだ
- MOMOKO
- そ、それってやっていいことなの?
- GINJI
- もちろんダメに決まってる
『チート』っていって立派な反則行為さ - DINA
- マジかよ…
- GINJI
- プラグインを使ったキャラクターはレベルが一気に147になる
経験値で上がるものを無視して飛び級するようなものだ - DINA
- すげぇじゃん、それ使えば無敵じゃん
- GINJI
- って思うだろ
だけどNATSUHA TIMERには落とし穴もあったんだよ - MOMOKO
- えぇぇ!?落とし穴!?
だってレベル147って結構高いよー
ほとんどのプレイヤーに負けることないし
どんどんレベル上げてさらに強くなっていくじゃん! - GINJI
- って思うだろ
だけどNATSUHA TIMERを使ったキャラクターは
『下がる』ことはあっても『上がる』ことはない - DINA
- どうして下がるんだ
- GINJI
- それがNATSUHA TIMERの大きな特徴さ
147が天井なのはレベルが上がってNATSUHAを超えないようにするため
そしてこのプラグインは『時間経過によってレベルが下がって』いくんだ
俺の計算では約2時間でレベルが1下がる - BINGO!!
- チームを裏切らないために『足かせ』をつけたのだな
- GINJI
- BINGO!!さんのいう通り
レベルを147まで戻すにはパスワードを入力してTIMERを更新する必要があるんだ - SID
- …その更新の対価がレアアイテムだったのか
- GINJI
- その通り
俺は王家シリーズというレア武器を渡すことによって更新してもらっていた - MOMOKO
- まるでドラッグみたい…
- GINJI
- それに近いかもな…
4
- GINJI
- さらにプラグインの存在を隠すために使用したキャラクターは
NATSUHA TIMERという単語が使用禁止になるみたいだ - SID
- だから文字化けしたりデタラメな言葉になったのか
- GINJI
- そうだね
俺も入力した文字が反映されてなくて焦ったけど - BINGO!!
- NATSUHA TIMERの存在は都市伝説と聞いていたがまさか本当にあったとはな
- SID
- 体験している人がここにいるから
もう都市伝説じゃないね - GINJI
- そうだね
- DINA
- ではまとめると
メリット
・レベルを無条件で147まで上げてくれる
・そのおかげで楽々勝つことができる
デリメット
・レベルの上限が147でそれ以上は上がらない
・2時間に1レベルが下がる
・維持するにはNATSUHAって人に更新してもらう必要がある
・NATSUHA TIMERという単語が書けなくなる
こんな感じか? - GINJI
- 違う!!
- DINA
- 履歴見てまとめたんだから違うわけねーだろ!!
- GINJI
- そうじゃなくて!
『デリメット』じゃなくて
『デメリット』だろ!! - DINA
- 今はそこに触れるな!!
5
- MOMOKO
- でもGINJIくんはプラグイン使ってないんだよね?
なら狙われることもないし大丈夫だね
また一緒に戦おうよ^^ - GINJI
- いや、俺はこのチーム
チーム⭐︎ダイナ(仮)から抜けることにする - MOMOKO
- えぇぇ!!なんでぇ!?
- GINJI
- KARASを操作していたのは俺自身だし、みんなのこと裏切ったし
だから俺はチーム⭐︎ダイナ(仮)には残っちゃいけない気がするんだ
弱気の気持ちが見てとれる。
俺は裏切ったとかそんなことよりも、
永太が戻ってきてくれたことが嬉しかったのに。
この世界を紹介した仲間がここで離脱するのが、
どうしても納得いかない。
- DINA
- 逃げんのか?
- GINJI
- ただ、申し訳ないだけ
- DINA
- ふざけんな!本当に申し訳ないって思うならここから逃げんな!
失敗したら次挽回したらいいじゃないか!
俺がいて欲しいし、いてもいいんだから自分から離れることはするんじゃねーぞ
GINJIは俺のチームに必要なんだ! - GINJI
- DINA…
- DINA
- 俺のチームに残れ!これはリーダーの命令だ!
ここにいるみんなはGINJIを責めたりしない! - MOMOKO
- もちろん^^
むしろ大歓迎だよーw
チーム⭐︎ダイナ(仮)に残ってよー - SID
- …次はチーム⭐︎ダイナ(仮)を裏切るなよ
- BINGO!!
- またチーム⭐︎ダイナ(仮)のメンバーとしてよろしくGINJI君
- GINJI
- みんな、ありがとう
これからチーム⭐︎ダイナ(仮)としてまた頑張るよ
チーム⭐︎ダイナ(仮)として - DINA
- うんうん、これで一件落着だ
ただ一言いわせてくれ
チーム⭐︎ダイナ(仮)って連呼するなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
狭いホテルの部屋で、俺はDINAでみんなを追いかける。
“www”って草生やしながら大はしゃぎ。
この時間がいつまでも続いたらいいのになって、本気で思っていた。
高校1年生、初夏の夜。
続く。
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