前回まで、
安全地帯
4
- DINA
- 時を戻そう。
なんでSEVENさんは怒っているのですか?
このままの流れに任せると、前田慶次の話題で1日が終わってしまう。
だから何とか強引に軌道修正した。
- SEVEN
- 拙者の場所をとられたから…
「場所ってもしかして、今DINAが座っているこの場所か?」
それ以外考えられない。
でも何でこの木陰に座っただけで怒られるのか俺にはわからなかった。
俺は恐る恐る[今俺が座っている場所ですか?]ときいた。
- SEVEN
- そうだ!
一瞬で返事が返ってきた。
相当気に入っている場所みたい。
でも、
- DINA
- ちょw休む場所ならいくらでもあるでしょww
わざわざここを選ばなくてもwww
補足だが、安全地帯は場所によって体力回復に違いはない。
つまりどこで休んでも同じのはずなのに。
- SEVEN
- ここがいいなのだ!
譲歩のかけらもなかった。
- SEVEN
- なんかムカつくなぁ
表に出ろ、勝負だ!
ついにSEVENさんが機嫌を損ねたみたいだ。
いやいや、今PVを申し込まれても困る。
DINAの体力は全回復したから問題ない。
装備品も整っている。
だが、問題があるのは俺自身だ。
休まず画面を凝視したので、ドライアイが酷くなっていた。
手の疲労も回復していない。
今戦ったら100%負けるに決まっている。
ということで、
- DINA
- すみませんでしたー!!
全力で謝罪し、木陰を譲った。
こだわる必要もなかったし、トラブルは少ない方がいいに決まっている。
- SEVEN
- わかればいいんだ
そういうとSEVENさんは木陰に腰を下ろした。
5
- DINA
- もしかしてですけど、
ここに座る人みんなに脅しをかけていませんか?
ふと疑問に思ったことをきいてみた。
- SEVEN
- 拙者は脅しなどそんな下劣な行為はしておらん!
- DINA
- すみません…
- SEVEN
- この場所を全力で守っているだけだ!
- DINA
- いや、脅しと変わらないじゃないですか
- SEVEN
- ウルサイ!
結局怒られてしまった。
おそらく図星だったのだろう。
6
- DINA
- でも何でこの場所なんですか?
ここじゃなきゃダメな理由でもあるんですか? - SEVEN
- お主にはわからないと思うが、
ここじゃなきゃダメなんだ
先ほどの文章とは対照的に、どこか悲しそうな返事だ。
文章からも雰囲気は伝わってくる。
- DINA
- なぜ(?д?)
少しでも悲しさを紛らわせられるかなと考え、わざとふざけた顔文字を添えた。
ところが、
- SEVEN
- 拙者をバカにしているのか!
紛らわせるどころか、逆に怒らせてしまった。
今日は誰かを怒らせてばかりだ。
- DINA
- すみません、何だか文章が悲しそうだったから
少しでも紛れるかと思って… - SEVEN
- 冗談だw
(冗談かよ!SEVENって人は何だか絡みづらいなぁ)
怒ったり、悲しかったり、当たり前だの慶次郎とかくだらないギャグいってみたり、
ほんと忙しい人だなと感じた。
感情が目まぐるしく変化するものだからどのように対応していいのかわからない。
そもそも武将みたいな言葉と標準語が入り混じっていて定まっていないじゃないか。
キャラクターの迷走か情緒不安定なのだろう。
できれば前者であってほしいのだが。
- SEVEN
- 怒って悪かった
ここを守りたい理由はな、
大切な人と過ごした思い出の場所だから、だよ - DINA
- 大切な人?
- SEVEN
- あぁ、拙者にとって大切な人だ
その人は今、このオンラインゲームの中にいる
いつもここに座っているから、毎日確認しにきているのだ
拙者は、その大切な人に会いたいのだ
会って彼を救いたい
この木陰にこだわっている理由はわかった。
大切な人との思い出の場所らしい。
オンラインゲームでしか会えないってのは遠距離で交流しているからかな。
現実にもさまざまな人はいるがそれはオンラインゲームでも変わらないんだな。
- DINA
- その大切な人と、会えるといいですね
- SEVEN
- お主は優しいな、優しい男はモテるものだ
ということで、もうここには座るなよw - SEVEN
- わかりましたけど、
またここ使わせていただきますw - SEVEN
- テメェふざけるな!
本気で怒ったぞ!表でろ、勝負だ! - DINA
- すみません、本気で謝ります
- SEVEN
- 冗談だww
誰かコイツの説明書持ってきて。
7
- DINA
- そうだ、SEVENさん、俺のチームに入りませんか?
- SEVEN
- え??
SEVENさんは戸惑っていた。
でも俺には明確な目的があってSEVENさんを誘っている。
SEVENさんのレベルは60。チーム⭐︎ダイナ(仮)の中では強い方に入る。
だからTeam Xなどの強敵が現れても対応してくれるはず。
戦ってくれる味方は多い方がいいに決まってるしね。
だけど、俺が一方的に誘ったって仲間になってくれない。
だから、
- DINA
- 俺たちも、SEVENさんの大切な人探します
1人で探すより大人数で探す方が効率いいですし
協力させてください!
SEVENさんの人探しを手伝うことにした。
絡みづらい人だけど、困っている人を放っておけないからね。
真のヒーローは誰にでも優しくなのだ。
俺の言葉から2分くらい経ってから、チャットウインドウに返事がきた。
- お願いするで候
最後の漢字はなんて読むかわからないけど、SEVENさんが仲間になった。
- SEVEN
- うわっ、なんだこのダサいチーム名は
お主らもっと良い名前考えられなかったのか!
『さむらい〜ず』とかさw - DINA
- 色々あってこの名前なんです!
あと何でSEVENさんの趣味に合わせるんですか
『さむらい〜ず』の方が嫌ですよw
そうだね、確かBINGO!!さんも登録するときにチーム名を見て、
[うん!味があっていいチーム名ダトオモウヨ!ウン!]
って何とも微妙な返事だったし。
文章の後半はなぜか全部カタカナだったから動揺していたと思うし。
チーム⭐︎ダイナ(仮)って名前、なかなか受け入れてもらえない。
- DINA
- 男なんですから細かいこと気にしないでくださいよ〜w
- SEVEN
- 拙者は女だ!
見た目から薄々感じてはいたけどやっぱり女性だったのね。
一応確認ってことで許してね。
続く。
コメントを残す