前回まで、
DOLPHIN事件
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結局、永太から詳しい情報を得られなかったので、インターネットで調べてみることにした。
『DOLPHIN事件』と入力し、ググってみる。
すると、
『 -Sky Fliers Online-の都市伝説や事件に関するスレ まとめ』
というホームページが1番上に表示された。
「ここに、DOLPHIN事件について書いてあるのだろうか」
恐る恐るアクセスしてみる。
画面がいきなり真っ暗になったと思ったら、不気味な書体赤い字で『 -Sky Fliers Online-の都市伝説や事件に関するスレ まとめ』 と表示された。
恐怖を煽るような、イヤな雰囲気のページ。
下へスクロールすると、
『ハネツキが採用された理由』
『消されたキャラクター』
など様々なタイトルがある。
『NATSUHA TIMERの噂』もあった。
自分が体験した出来事が出てくると信憑性が増すものだ。
俺はこの不気味なサイトを信用して記事を探した。
「えーと、DOLPHIN事件はどこだ」
目を細めてディスプレイの隅から隅までくまなく探した。
予想以上に記事数が多いから、なかなか見つからないのさ。
字も小さいしね。
「やっとみつけたぁ」
スクロールした先に『DOLPHIN事件』の項目を見つけた。
リンクをクリックしたら、以下の事が書かれていた。
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ある日1人のプレイヤーがS.E.O.を訪れた。
名前はDOLPHIN。
水色の服と少年のような風貌が特徴だ。
レベルは10。
[僕を、S.E.O.に入れてください!]
突然のことでチームの誰もが驚いた。
強豪ぞろいのチームだったので、DOLPHINの加入には反対の声も多かった。
[レベルの低いプレイヤーをチームに入れる必要はない]という声が圧倒的。
だが、リーダーのSKULDAは違った。
[チームに所属するのにレベルも資格も何もない!受け入れよう!]
心優しいSKULDAは周囲の反対を押し退けて、DOLPHINをチームに迎え入れたのだ。
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DOLPHINがチームに加入してからほどなくして、
チームメイトの行方不明が多発するようになった。
当初DOLPHINを受け入れたことによるリーダー不信の脱退だと思った。
しかし、行方不明は日に日に増え、
SKULDAに信用を寄せていたNo.2のEAGLEまで行方不明になり、
遂にチームメンバーは残り10人となってしまった。
さすがにおかしいと感じたSKULDAは、行方不明の原因を調べることにした。
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だが、原因はすぐに判明した。
KILL°°BEという不気味なキャラクターのせいなのだ。
噂によると、KILL°°BEはPV相手を削除するプラグインが入っているらしく、今まで大量のキャラクターを不正に削除してきたとのこと。
別名Ghost murder KILL°°BE
幽霊の殺戮者
KILL°°BEとPVをして(物理的に)戻ってきたプレイヤーはいなかった。
事態を知ったSKULDAは激怒し、自らKILL°°BE討伐に乗り出したのだ。
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しかし、事態は思わぬ方向へと向かった。
何とDOLPHINがいきなり、
[俺はホントハKILL°°BEダ]
と言ってきたのだ。
つまり、サブキャラクターのDOLPHINになってチームに潜入し、情報を入手し、KILL°°BEにチェンジしてチームメイトを狩っていったらしいのだ。
DOLPHINはスパイでありKILL°°BE。
それを本人が申し出たからまた驚きだ。
これを知ったSKULDAは、残りのメンバーの意見を聞かず、即座にS.E.O.を解散させた。
残りのチームメイトを守るため、ゲームをプレイしているみんなのため。
また、DOLPHINと隔離させるという理由もあったみたい。
以下解散した日の掲示板に書かれていた文。
S.E.O.のみんな
突然の解散ゴメン
でもこうするしかなかった。
アイツのせいでたくさんのチームメイトが死んだ。
このままでは終われない。
DOLPHINを受け入れた私と、アイツに罰を与えなければいけない。
こんな私を許してくれ。
SKULDA
今思えばこの文章についてもっと疑問に思うべきだと感じたのは、
ことが起こってしまってからだった。
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あれからSKULDAも、KILL°°BEと同じプラグインを入手し、DOLPHINにPVを無理やり申し込んだ。
チームを壊された怒りが、SKULDAの心までも変えてしまったのだ。
PVは一方的なものになった。
逃げ回るDOLPHINに対してSKULDAの攻撃は容赦ない。
いつもSKULDAはそんな野蛮なことはしなかった。
無論、初心者相手にPVを申し込むこともしない。
SKULDAの得意武器である投げナイフとダガーナイフでDOLPHINを追い込んでいく。
そして、DOLPHINを削除した。
いや、殺したと言った方がいいだろうか。
いずれにしても、SKULDAはDOLPHINをオンラインゲームの世界から消したのだ。
その日を境に、SKULDAも姿を見せなくなった。
正義とはいえ、DOLPHINを殺した後悔なのか、
チートをした罪悪感なのか、
いずれにしても察知したのだろう。
自分のしたことがとても大きなことだったことなのかを。
これがDOLPHIN事件の全てである。
続く。
かつてこのオンラインゲームには、プレイヤーネームSKULDA(スカルダ)が率いていた、
『S.E.O.』というチームがあった。
それは当時ITOSHIKIが率いていた最強チーム、Team Xと同じ実力があったチームだ。
リーダーのSKULDAはドクロの仮面を被り、服装はタキシード。
ドラキュラをイメージするような服装だが、タキシードはマントをまとっていたため、ほとんど見ることはない。
そんな怖い風貌のSKULDAだが根は優しく、チームメイトを大切にしていた。
そんなSKULDAの人間性が認められて、いつしかS.E.O.はメンバー50人を越える大きなチームに成長した。
だが、そんな幸せも長くは続かなかった。