前回まで、
【第38回】空想戦記 -Sky Fliers Online-
オフ会
1
次の日。
久々にチーム⭐︎ダイナ(仮)のメンバーが集まった。
正確に言えば全員ではなく、BINGO!!さんだけは今日もログインせず、なんだよね。
最近全然姿を見ないから少し心配。
ということで、メンバーは俺(DINA)、GINJI、SID、MOMOKO、SEVENの5人。
ログインして早々に、SEVENさんが自己紹介をした。
- SEVEN
- はじめましてだな
この前チームに加入させてもらったSEVENだ - MOMOKO
- MOMOKOです^ ^
- GINJI
- GINJIです、はじめまして
- SID
- …SIDだ
- SEVEN
- おう、みなのもの
よろしくつかまつるw - MOMOKO
- SEVENさんって時代劇の人みたいですね^^
- SEVEN
- おぉ!?そうか?
- SID
- カッコいいです、憧れます…どこかのDINAとは違ってwww
- DINA
- 誰がどこかのDINAじゃい!
名指しをすな!
SEVENさんの時代劇キャラがよかったのか、元々オンラインゲームは仲良くなりやすいのか、
いずれにしてもSEVENさんはすぐにチームのメンバーと仲良くなった。
- MOMOKO
- カッコいいなぁ^_^現実ではどんな人なんだろう
- SEVEN
- そんなのみんなと変わらない一般人だよ
- MOMOKO
- そうなの?^ ^
どんな感じなのか気になります〜
- MOMOKO
- ねぇねぇ、みんな休みはいつかな^ ^
- DINA
- 俺の学校は来週の水曜日から夏休みだよ
- GINJI
- DINAと同じ学校だから同じく
- SEVEN
- お主ら学生だったのか…
- MOMOKO
- えっ!そうなんだ
実は私たちも来週の水曜日から夏休みなんだ^ ^ - SID
- …私もMOMOKOと同級生だから同じ
- SEVEN
- お主らもか!
- DINA
- そうなんだ、偶然だね^ ^
チャットでは『偶然だね^ ^』なんてキャッチーに返答したけど、
考えたら偶然を通り越して少し怖いよ。
今いるメンバーの5人のうち4人は学生で、しかも夏休み開始時期も同じなんて。
- SEVEN
- よし、皆夏休みなら来週の金曜日にオフ会でも開催しようではないか!
- MOMOKO
- わーい\(^o^)/さんせーい
- SID
- …いいだろう
- GINJI
- いいね
- DINA
- オフ会ってなに?
- SEVEN
- それじゃあ来週金曜日の夕方6時
場所は、カラオケ屋『歌王』で
遠い場所ならリモートで繋がろ - MOMOKO
- 了解です( ̄^ ̄)ゞ
- SID
- …了解した
- GINJI
- わかりました
- DINA
- だからオフ会ってなに?
俺の疑問が解決されないまま、オフ会の計画だけが進行している。
2
ログアウト後、すぐに永太に電話。
結局オフ会についてなにもわからないままだったから、永太ならわかると思って。
『もしもし、どうした』
永太がすぐに出てくれた。
「すまない、夜遅くに」
俺は申し訳なさそうに伝えたが、
『いいよ、もうすぐで夏休みだし』
と優しい言葉をかけてくれた。
俺は「ありがとう」と答えて、すぐに「オフ会ってなんなの?」と永太にきいた。
『お前わからないで聞いてたのか?』
電話の声は呆れているようにも聞こえた。
さっきの優しさはどこへいったのか。
「いや、ゲームで何度も質問したんだけど、誰も答えてくれなかったから」
むなしいよね。
質問しても返事が返ってこないというのはさ。
『いやいや、それよりも疑問に思ったことないか?』
(あぁそうか、永太も俺の質問は無視か)
ちょっと寂しい気持ちになったけど、そのまま永太の話を聞いた。
『場所は歌王っていってたけどどこにあるかわかる?』
「あぁそれなら、家の近所に歌王あるから多分そこだろう」
『本当にそうなのかな?』
「なんで、違うのか」
『いや、オンラインゲームって全国から参加してるじゃん。だから地域とか確認しなくても良いのかなって思ってさ』
確かに永太の言うとおりだ。
オフ会ってなんなのかばかりに気を取られて、 集まる場所とか詳しく聞いていなかった。
いくら夏休みとはいえ、北海道まで行けってなったら難しいしなぁ…。
『なんだ、今頃気づいたのか』
「だってオフ会ってなんなのか疑問に残ったままだから」
さりげなくさっきの疑問を投げかけた。
『まぁいいや、SEVENさん会えなかったらリモートでっていってたし、近場でなかったら残念ということで、したらおやすみ』
「えっ、いや、あのさ、」
問題が解決すると永太は早々に電話を切った。
結局オフ会がなんなのかよくわからず、その日は気になって寝付けなかった。
3
時は過ぎ、約束の金曜日。
俺は永太と共にオフ会の会場である歌王の前で他の3人を待っていた。
時刻は午後6時。約束の時間だ。
「本当にここであってるのかなぁ」
永太は弱々しい声で俺にきいてきた。
自信がないのだろう。
「本当もなにも、歌王に集合っていわれたなら信じて待つしかないよ」
「そうだよなぁ」
「まぁ1時間くらい待って来なかったら諦めようぜ」
「そうだな」
永太の不安そうな顔が少し緩んだ。
かなり不安だったのだろう。
4
待つこと10分。
前方から2人の女の子がこちらに向かってきた。
よく見るとその2人は…、
「なにボォーっと突っ立ってんのバカハジメ」
「あっ、瀬川くんと城戸くんだ」
カナタと梢ちゃんだった。
「こんばんは、今日は2人揃ってカラオケしにきたの?」
永太が笑顔で2人に問いかけた。
「違うよ、これから他のメンバーと会う約束してるの」
カナタは首を振って否定した。
「へぇーそうなんだ、俺たちも今オフ会のメンバー待ち」
俺が笑顔で答えると、
「え゛っ?!」
とカナタは眉間にシワを寄せてものすごく嫌そうな顔をした。
「えっ、まさかだよね」
永太は状況を察したみたいだ。あたふたしながらカナタに質問した。
「何のオフ会かな?」
「 Sky Fliers Online」
「じゃあ人数は?」
「5人」
「チーム⭐︎ダイナ」
「(仮)」
カナタは永太の質問に全て完璧に答えた。
「それじゃ俺たちと同じチームだったんだ」
俺が笑顔でカナタに話しかけると、
「…そぉいうことになるわね」
なんだか嫌そうというか、バツが悪そうな表情をしていた。
「というかカナタ、俺がオンラインゲームをしていることをバカにしていたじゃ…」
「ハイハイ、会ってすぐに喧嘩なんて、あなたたちホント仲がいいわね」
俺の後ろから大人の女性の声が聞こえた。
続く。
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