前回まで、
掲示板、予告
1
- SEVEN
- というか、お主ら本題を忘れてはおらぬか?
- DINA
- えっ?
- GINJI
- あっ!
そうだよ掲示板!
DINA、一番上にあるタイトルを開いて読んでくれ!
「掲示板を開いて、一番上にあるタイトルっと」
ブツブツと呟きながら、ポインタを掲示板に合わせて開く。
専用のウィンドウが開き、タイトルがずらりと30近く並んでいた。
一番上のトピと言っていたから、探すのも簡単。
んで、肝心のタイトルはというと、
『正しいアジの開き方』
だった。
2
きっと寝ぼけて見間違えたんだろう。
目をゴシゴシ擦り、両手で頬をパシン!とおもいっきり叩き、あらためてディスプレイを凝視した。
だが、間違いない『正しいアジの開き方』って書いてある。
おかしい。
なぜ緊急事態に、ふざけ半分のタイトルを読ませようとしているのか。
わざわざ電話で呼びつけて、だ。
いつものおふざけにも感じる。
きっと『正しいアジの開き方』って変なタイトルにしておいて、開いてみると
『遅くなったけど、誕生日おめでとう!』
とかサプライズでも仕掛けているのだろう。
いずれにしても訳がわからないので、とりあえず開くことにした。
正しいアジの開き方
FOR:JIN
正しいアジの開き方について語っていこうかw
- #2 SOPHIA
- 観音開きがイイねww
- #3 SAMMY
- M字開き
- #4 MIZUHO
- いやそれwwwwwww
- #5 BELLCO
- イン○ン
俺はそっと掲示板を閉じた。
3
持ち手をキーボードに切り替え、猛烈な速さで文章を打つ。
怒りを込めながら。
- DINA
- オイ、GINJI!
あれを読ませるためにわざわざ電話で呼びつけたのか?
マジで意味わからんぞ! - GINJI
- 何言ってんだ?
NATSUHAの文章読まなかったのか? - DINA
- NATSUHAの文章なんてなかったぞ
一番上のタイトルは『正しいアジの開き方』だぞ!
GINJIは掲示板のところまで来てくれた。
そして確かめてくれたのだろう。
- GINJI
- スマンw違うわw
というかそれ読んだらエグくて目まわったわw
と返ってきた。
いや“w”じゃねーよ。
観音開きとか書かれてビックリしたんだからな。
- DINA
- じゃあ本当のタイトルを教えてくれ
- GINJI
- 『拝啓、予告』って書いてあるやつだわ
それがNATSUHAからの文章だ - DINA
- わかった
再度掲示板にポインタに合わせ、『拝啓、予告』を探した。
『正しいアジの開き方』の真下にあった。
4
すぐにクリックして、内容を確認。
そこには、
やぁチームダイナの諸君元気かねww
我々はこれから、このゲームを支配するための準備をしている。
計画は順調だ。
だが、このまま計画が順調に進んでも面白くないw
というわけで、正義とほざいている貴様らに、チャンスを与えたいと思う。
とりあえず昼12時までに砂漠に来い!DINA!
砂漠に来たら次のチャンスを与えてやる。
さぁこの俺を止めてみろwww
書き込まれていたのはNATSUHAのこの文章だけ。
後は何も書いていなかった。
- DINA
- 読んだ
- GINJI
- そうか
で、どうする? - DINA
- 正式名称は
チーム⭐︎ダイナ(仮)だろ! - GINJI
- いや、そこじゃねーしww
- DINA
- どうするも何も
約束の時間はとっくに過ぎてるし、急いで砂漠に行かないと何も解決しないぞ
ご存知の通り、俺がログインした時点で約束の時間である12時をとっくに過ぎている。
急がなければならない。
だが、GINJIは[これは罠かもしれない]とやけに消極的だ。
5
[なぜ罠だと思う?]
とGINJIにきいた。
NATSUHAの文章は特に変な箇所もなかったし、俺には理解不能だった。
[チャンスを与えてやる]とか気前のいいことも書いてあるし、計画を止めるなら今しかない。
しかし、興奮気味な俺とは対照的に、GINJIはどこか冷めた様子で答えてくれた。
- GINJI
- どう考えても怪しすぎる
掲示板に書かれていた計画だって運営に見つかればタダでは済まないはず
それに『DINA』と名指しで指名してきただろ
チーム⭐︎ダイナ(仮)全員ではなく
だからTeam Xは本気でDINAのことを消そうと企んでいるのではないか?
確かにGINJIの言わんとしていることもわかる。
だけど、問題はそこじゃなくて、時間が過ぎても動こうとしないGINJIたちにイライラしていたんだ。
- DINA
- 昨日NATSUHAが『予定通り計画を実行できる』と言っていた
だから掲示板に書かれていることは恐らく本当だ
確かに罠かもしれない
でもそれがどうしたのさ?
わかっていても、行かなきゃならないときは絶対にある!
それが俺たちチーム⭐︎ダイナ(仮)だろ
NATSUHAの目的はゲームの支配。
カッコよく言うなら『世界征服』。
難易度、武器、スキル、全てに至るまでNATSUHAの手中におさまることになる。
だからこの計画を止めないと。
世界がメチャクチャになってしまう。
6
みんなその場で固まってしまった。
その沈黙を破ったのはSIDだった。
- SID
- …リーダーについていく
SIDの返事に続けとばかりにチャットウィンドウが文書で埋まってくる。
- SEVEN
- 善は急げというからな
よし!いざ参る! - MOMOKO
- ちょっと怖いけど、
私たちが動かないとだね^ ^ - GINJI
- どうなっても知らないぞ
まぁ罠だとしたら俺たちで助けるからなw
まぁGINJIの言葉はどうも気に食わないから[助けなんていらねぇw]と返したが、
俺の意見に反対するものは誰1人いない。
感謝の気持ちでいっぱいになり、ディスプレイを眺めながら目頭が少し熱くなった。
きっと寝不足だからだね。
こうしてチーム⭐︎ダイナ(仮)は砂漠に向かった。
これから起ころうとしている計画、世界征服を止めるために。
続く。
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