前回まで、
GINJIの正体
5
- GINJI
- どうだった?
- DINA
- 嫌われたみたい…
結構ショックだったよ。何も悪いことしていないのに「バカにするのやめてください!」って言われてさ。
- GINJI
- ドンマイww
励ましてくれた。そんな些細なことが今はスゴく嬉しく感じるんだ。テンションが戻ってきた。
- DINA
- ありがとうw
そして、なんで嫌われたのか質問してみた。
- DINA
- ところで、さっきの会話見てた?
- GINJI
- おう、しっかり見てたぜ
- DINA
- 俺なんか悪いことしたかな?
- GINJI
- 結構してたよw
- DINA
- えっ、マジで!それじゃ教えてよ
- GINJI
- w←コレ
- DINA
- は?
答えが予想外すぎて返す言葉が見つからなかった。
だって俺はGINJIの言うとおりにwを使っていたんだから間違いないし嘘を教えるなんてあり得ないじゃん。
だが、GINJIは、
- GINJI
- だ・か・らw←コレだってw
意見を変えなかった。
- DINA
- それじゃあw←コレがなんで悪いことなのさ。テンション上がってますって時に使うんだろ?
すると、とんでもない答えが返ってきた。
- GINJI
- 俺が教えたの、全部ウソだよっw
- DINA
- はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?
納得がいかなかったので永太に直接電話することにした。
trrrr…trrrr…
「もしも…」
「どうして電話してきたのさビックリするだろ、チャット使えよチャットを!」
俺がもしもしを言いきる前に、ケータイの受話器から永太のツッコミが聞こえた。
「文章よりも言葉で話した方が早いからな。それよりもウソってどういうコトだ!」
永太は笑いながら答えた。
「イヤ…ホントに実行するとは思ってなかったからさ。普通は途中でウソだって気づくもんだと思ったから止められなかった…まさか実行に移すとは…」
「まさか実行に移すとはじゃねーよ!俺嫌われてしまっただろうが!」
永太の鼓膜を破るつもりで大声で怒鳴った。
「まぁまぁまぁまぁ肇。今回は俺が悪かったよ。お詫びにアイテムをやるからそれで許してくれ」
「…わかったよ、次はウソつくなよ」
「わかった、約束する」
これにて一件落着と言いたいところだが、疑問は解消されてない。肝心なことを忘れる前に聞かなくちゃ。
「ところでさ、あの“w”の本当の意味ってなんなの?」
「あれはメールとかで(笑)って使うじゃん、あれの短縮系だよ」
「へぇ~そうなんだ」
「ただ、肇が使ったようなやり方は相手を侮辱するようなやり方だったんだよ、『へぇ~オマエまだそんなレベルなんだぁクスッ』みたいなね」
「あっ…だからか、うん、理由わかったよ」
「それじゃあゲームに戻るぞ。お詫びの品渡すから動くなよ」
そう言って永太は電話を切った。
パソコンの画面には、GINJIから宝箱が出てきた。きっとこれがお詫びの品に違いない。
中を開けてみると。
- DINAは薬草×50を手に入れた。
また薬草かよっ!
6
その後、GINJIから色々と基本的な事を教えてもらった。
チャットの機能、ワザ、ショップや道具の渡し方についてなどたくさん教えてくれたが情報が多すぎて覚えきれなかった。
とりあえず、チャット機能だけは把握できた。
- 緑の表示
- 通常のチャット。主に画面内にいるプレイヤーに聞こえるチャット。
- 赤色の表示
- 叫ぶモード。発信すると画面内だけではなく全フィールドで聞こえるチャット。
- 青色の表示
- シークレットモード。屋内など限定された場所のみ使える。会話は外からは聞こえない。
まぁGINJIも「使って覚えるもんだ」って言ってくれてたし、なんとかなるって思っていた。
次にGINJIは、ある貼り紙の所まで俺を案内させた。
その貼り紙にはドクロマークがついていて『WANTED』って書かれていた。
- GINJI
- コレは『お尋ね物ランキング』って言うんだ。ココに書かれてるプレイヤーは違反をしたとかで書かれてるんじゃなくて、PVで強い順に並んでるんだよ。
まぁランクマッチの順位って言えばいいかな。 - DINA
- そうなんだ、俺って何位くらい?
- GINJI
- みてみw
そう言われたので、ランキングの貼り紙にポインタを合わせてランキングを見てみた。
お尋ね物ランキング
1位:ITOSHIKI
2位:NATSUHA
3位:SKULDA
4位:AASAA3
5位:MACY
載ってない。ランキングを隈なく探してみたけど、DINAの名前はなかった。
ってか偽アーサーが4位にいたことが一番ビックリした。
- DINA
- なぁ、この1位のITOSHIKIって人結構有名なの?
- GINJI
- このゲームで初めてランキング1位を獲得してから1位の座を譲ったことがないんだ。このゲームで「イトシキ」を知らない人はいないよ
- DINA
- そっかぁ
そんな会話をしてる時、俺は目的を2つ思いついた。
俺はチャット機能を叫ぶモードに切り替えた。この叫ぶモードとは自分の打った内容を全フィールドのみんなに伝える機能だ。チームメンバー募集の宣伝のために使う人がほとんどだ。
「よし、これでOK」
エンターキーを押して、文章を送った。
- DINA
- オイ!ITOSHIKI。PVランキング1位かなんかは知らんがな、オマエは俺『DINA』が必ず倒してやるからな!覚悟しとけ!
宣戦布告だった。
この世界で強いヤツを倒して一番になる。
これが俺の1つ目の目的。
7
- GINJI
- おまえ、ヤバいって、、、そんなことをしたら、、、
GINJIの言葉を無視してメンバー募集の掲示板に書き込んだ。
正義缶募集
FOR:DINA
この世界にいる悪のプレイヤーを、俺たちと一緒に倒していきませんか?
そう、「正義のプレイヤー」を一緒に目指していきましょう。
仲間になりたい方はDINAまで。
- GINJI
- ドユコト?
GINJIはこの意味がよくわからなかったみたいだ。
- DINA
- 俺たちで倒していくんだよ、弱いものばかり狙っている悪のプレイヤーをさ
- GINJI
- なんで?
- DINA
- 俺思ったんだ。このゲームを始めたばかりの人がさ、初心者狩りとかにあって辛い思いをしてる人がいっぱいいると思うんだ。
実際俺も辛かったし…だから初心者ばかり狙う悪い奴らをPVで勝利して助けてあげたかったんだよ
そう、これが2つ目の目的かつ1番重要視していること。
だから精一杯説明した。
いつも中途半端で終わってた俺だから今回はやりきりたいと思っていた。
- GINJI
- 俺もそれに参加してくれと?
- DINA
- あぁ
暫く沈黙が続いた。
もしGINJIが拒否したとしても、仲間が一人も集まらなかったとしても、これは俺独りだけだったとしてもやりきる。
その気持ちは変わることはない。
- GINJI
- …やろうぜ
- DINA
- ありがとう!
想いが通じたのかGINJIの返事はOKだった。
いつも使っているありがとうに、たくさんの気持ちを込めたのは初めてだ。
それだけ嬉しかったし感動してる。
- GINJI
- どうでもいいけどさ、掲示板のタイトル間違ってるよ。
正しくは“正義感” - DINA
- えっ?!
感動が台無しだよ。
続く。
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