前回まで
ヒマな毎日
1
気がつけばもう6月になっていた。
入学してから2ヶ月、俺は特に何もすることなくなぁなぁと過ごしていたような気がする。
小、中学校で野球をやっていたので野球部に入ろうとも考えてみた。
しかしこの高校は野球部がメチャクチャ弱いと 言うことがわかり、入部をやめた。
勉強でもスポーツでも未だに普通どまりな俺。
入学直後にすぐテストをしたのだけれど、
結果は40人中17 位。
頭がいいって訳でもなく、悪くもない。ごく一般的な成績だ。
そんな俺には野望がある。
その野望とは「何かをやり遂げる」ということ。
いつまでも中途半端ばかりだったので高校生ではやり切 ってやると考えていた。
しかし何があるだろうか…。
勉強はできないし。今更部活に入るのも面倒くさい。
…何かないだろうか。
2
「よっ!!暗い顔して、どうしたんだい」
肩を叩いてきたのは同じクラスの城戸永太(キドエイタ)だ。
コイツは同じ中学ではなかったのだが、入学式の時に俺が話しかけた事がきっかけで仲良くなったのだ。
それ以来、俺は城戸と話すようになった。
「あぁ…少し気が晴れなくてね」
「また、野望の事でも考えてんのかな?」
「うっ…うるせーな!!」
「まぁお前の考えてる事なんてそんなもんかなーって。やっぱ当たってた?」
まるで宝くじでも当てたかのような満面の笑み。
俺を皮肉っているのか?
「あぁ…まぁな。」
その笑顔とは反対に、明日世界が滅びるような暗い表情を見せた。
ため息付きでな。
そんな俺を見てか、永太は俺にこんなことを言ってきた。
「なんなら教えてやるか?有名になれる方法」
その言葉に瞬時に反応した俺。自分で恥ずかしく思ってしまった。
「な、なんだそれは!!教えてくれ!!」
俺は目をまん丸にして永太に問いかけた。
ところが…
「さぁ~なんでしょうね」
永太はそんな俺を見て面白かったのか、勿体ぶってなかなか言おうとしない。
3
「な、何だよ!!教えろよ!!」
「まぁまぁそうあせるなや」
そう言って永太はメモ帳とペンを取り出して、何かを書き始める。
メモ書きしながら、「そういえばお前ん家ってインターネット繋がってるよな?」
そんなことをきいてきた。
「あぁ繋がってるよ。俺の部屋にもパソコンあるからネットになら簡単に接続できるよ」
「そっかそっか…なら…大丈夫だな」
メモを書き終えると永太はそれを破って俺に渡した。
そこに書かれていたのはアルファベットと数字。
http:から始まっていたからきっとホームページだろう。
これで 「インターネット繋がってるよな?」 という質問の意味がわかった。
「今日帰ったらそのURL入力してみ。きっと面白いものが 待ってるぜ。」
永太からもらったURLをみている俺に 最後に一つ言った。
「お前なら絶対ハマると思うぜそれ。」
4
学校が終わると、俺は永太からもらったメモを握りしめ、全力疾走で家に向かう。
俺は特に部活に入っていないため、割と早く帰ることができるのだ。
俺はワクワクして仕方がなかった。
永太が何を用意してくれたのか、どんな事が待っているのか全くわからないからだ。
まるでちょうど2ヶ月前にやった高校の入学式みたいな感じ。
何だかわからないけど楽しみみたいなそんな感じ。
家に着くと靴を脱ぎ捨て駆け足で二階の俺の部屋に駆け込んだ。
勢い余って扉を壊してしまうくらい思いっきり閉めてしまった。
そんな事は関係なくすぐさまカバンをベッドの上に投げ、パソコンがある俺の机の前へ。
椅子に座らず立ったまま起動ボタンを押す。 そしてじっとディスプレイを見てパソコンが起動するのを待った。
だが待ちきれなくてマウスを揺すっていた。いつもの癖なんだ。
パソコンが起動すると早速インターネットを開き、永太からもらったURLを入力。
ホームページを開いてみた。
5
永太の教えてくれたページに入ると、そこには…
オンラインゲームがたくさんあったのだ。
しかも、ページの一番上には赤い字で大きく
「すべて無料」
って書かれてたから驚きだった。
俺はパソコンの画面を見ながら
「スゴい…」
と何度も何度も繰り返し呟いてた。
ゲームの映像やキャラクターの絵もそうだが一番驚いたのはストーリーだ。
これ本にしたらベストセラーになるよと思うくらいに大がかりなストーリーばかりだったからだ。
種類も豊富で、現代の戦場が舞台だったり、中世のヨーロッパだったり、未来の話だったりと多種多様だった。
オンラインゲームにストーリーなんてないと思っていた俺だったが、その考えを見事に裏切ってくれた感じだった。
その中で、一つのゲームが俺の目に映った。
それは今話題のゲームらしく、タイトルの上に
「大人気!!」と書かれてあった。
名前は『Sky Fliers Online(スカイフライヤーズオンライン)』。
どうやら俺はこのゲームに一目惚れしたみたいだ。
ずっとこのゲームが気になって仕方がない。
だが、パソコンの知識がそんなになかった俺は、すぐゲー ムをする事が出来なかった。
なので今日はデモムービーで我慢することにした。
続く。
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