【第46回】空想戦記 -Sky Fliers Online-

前回まで、

第45回 空想戦記 -Sky Fliers Online-

NATSUHAの目的

1

NATSUHAの自己紹介が終わると、間髪入れずにPVを挑まれる。

DINA
  • レベル46
  • 体力150
  • 得意武器は大剣
  • 未だPV0勝
NATSUHA
  • レベル159
  • 体力500
  • 得意武器はハンマー
  • ハネツキ

こんな実力差なのに、なぜPVを仕掛けてきたのかわからない。

弱いものイジメもいいとこだ。

NATSUHA
貴様はこのゲームが好きか?

PV開始早々いきなりの質問。

しかも好きかどうかをきくなんて愚の骨頂。

DINA
好きに決まってるだろ

でなきゃ睡眠時間削ってやろうなんて思わないし。

NATSUHA
そうかw
俺はてっきりPVで勝てないからつまらないと返ってくると信じていたのだがwww

イラッとする言葉だった。

DINA
ウルサイ!好きなものは好きなんだよ!

力強くキーボードを叩いて書いた。

手には汗、眉間にシワを寄せ、心臓は激しく動いている。

NATSUHAに図星を刺されて動揺しているのだろうか。

でも、信じたくはない。

だって俺は、

このゲームが好きだから。

NATSUHA
わかったわかったw
貴様がこのゲームを好きなのは認めようw
DINA
強がってなんかいないぞ!
俺の本心だ!

頭にきたので、NATSUHAの正面から切りかかった。

会話している今がチャンスだと悟ったから。

剣を振り下ろした瞬間、バック転で回避され、

大剣を構え直す大きな隙をついてタックルをしてきた。

もちろん回避することなどできずヒット。

画面の端まで吹っ飛ばされてしまう。

体力も一気に60減った。パワーが半端ない。

NATSUHA
おいおいw死ぬなよw
わざわざPVで会話しているんだからw
DINA
なんだと!PVは戦うためにしたんじゃないのか?
NATSUHA
貴様と話すためにPVにした
閲覧禁止にしているんだ
誰にもきかれないようにな
DINA
なに!?

よく見ると、会話がシークレットモードになっている。

NATSUHA
先程の続きだが、
俺はこのゲームが“嫌い”だ

ちょっと何言ってるかわからない。

DINA
何を言っている
嫌いならやらなければいいだけの話だろ

そもそもNATSUHAの実力なら、対戦相手も簡単に倒せるし、負けることないから楽しいと思うんだけど。

全然勝てない俺には到底理解できなかった。

NATSUHA
俺はな
このゲームに復讐するためにここにいる

2

復讐。

それは全く予想していない回答だった。

DINA
復讐って、『復習』の間違いではなくて?

誤変換だと祈り、わざとふざけた文章を送った。

NATSUHA
俺が復讐を誓ったのはただ一つ

NATSUHAは俺の言葉を無視した。

復習ではないみたい。

DINA
なんなんだよ、その復讐の理由って

恥ずかしいからさっきのはなかったことにして、あらためてきいた。

ログインしてでも復讐するなんて、とても強い恨みを持っているに違いない。

NATSUHA
このゲームが、俺の活躍を阻止しようとしている
それが復讐の理由だ

3

DINA
なんだよそれ
運営がNATSUHAのみを狙っているわけじょないだろう
NATSUHA
教えてやろうか
根拠と呼べるものは無数にある

ゲームがアップデートされるたびに、俺の使用武器の下方修正がされたり
最強武器『王家シリーズ』という武器にハンマーだけが未だに存在しなかったり
力の解放というスキルはレベル100以上のキャラクターにはつけることができなかったり

あげればキリがないがこんなところか

ここであげられた3つは、何度読んでみてもNATSUHAに不利なものばかり。

不満を抱くのもわかる気がする。

DINA
…ひどい

思わずNATSUHAに同情してしまった。

NATSUHA
だから俺は誓ったのさ
『Team Xが世界を変えていこう』と

この世界を手中に収めて新たな神になるんだ!

そのためだったらどんなことだってする!
今はその準備段階だ

耳障りのいい言葉で説明されたが、どこか違和感も感じた。

確かにゲーム自体から差別を受けているのなら反抗したい気持ちもわかる。

でもさ、

DINA
なんか、違う!

今感じた違和感をNATSUHAに向けてぶつけた。

続く。

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ムツキ
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いつでもそこにいるブロガーを目指してる30代農家。 何でもアリの雑記ブログやケータイ小説などを書いてます。