【第21回】空想戦記 -Sky Fliers Online-

前回まで、

第20回 空想戦記 -Sky Fliers Online-

学校にて

1

ということで、昼休み。

今日は珍しくカナタも俺たちと共に春休みを過ごしている。

普段だと、同じクラスの仲良い女子や隣のクラスに行く。

なんか怪しいけど、気にしないようにした。

「永太くん、元気出しなって。君は十分すぎるくらいガンバったんだから自信持ってねッ」

カナタは永太の肩を叩きながら、予選落ちしたスポーツ選手を励ますような感じで話した。

「あ…ありがとう」

永太はカナタの励まし効果もあってか、昨日とはうってかわって元気だ。

しかも若干照れてる。相変わらず女子には抵抗力無いみたい。

「ってか、その夢スゴいな!」

「え、なぜだ?」

永太の突然過ぎる関心に俺は困った。

「夢で柔道習ってるって言ってたみたいだけど、それは事実だしね、肇に言ったこともないし」

永太の発言に驚いた。

この現象って正夢?

それとも予知夢なのかな?

「へぇー永太くんって柔道もやっているんだぁ、全然そんな風に見えないよ」

カナタも驚いていたようだ。

「半強制的なところはあるけどね、やらされているって感じかな」

永太は照れていた。半強制と言ってはいるが満更でもないみたい。

「ほぉ八方美人ってやつだねぇ、勉強もスポーツも出来るというやつ」

「それを言うなら文武両道だろ、せめて才色兼備と言ってくれ」

「えっ!八方美人じゃなかったの?」

永太が訂正してくれたが、なぜ間違ったか知らずポカンとしている俺。

間抜けな姿の俺を見てカナタが教室に響く大きな声で言った。

「ハジメはホント頭弱いね!」

おかげでクラスのみんなに『頭弱い』と思われてしまった。

2

「そ、そういえば気になったことがあったんだけどきいてもいいかい」

俺は話題を変えた。

別に動揺してた訳じゃない。ただ、昨日きけなかったから今日きこうと思っただけ。

「いいよ、なんだ気になることって」

「なになにー私にもきかせて」

カナタも会話に割り込んできた。

「カナタには関係ない」

なんせオンラインゲームのことだから。

カナタにはついていけないと思っての配慮だ。

「なにさそれ!私だけ仲間はずれなの?!」

カナタは怒りながら『ぷぅー』と頬を膨らました。

案外ふくれてるカナタも可愛いかもしれない。

「聞いてもわからんぞ、まぁそれ…「で、用件はなんだ?」

脱線した話を元に戻すように、俺とカナタの会話に割り込んできた。

「そうそう、ITOSHIKIが『KARASを見つけたらメニューを開け』って言ってたんだけどなぜメニューを開くかわかる?」

「うーん謎だなぁ、多分だけどメニュー開いたらマップも同時に出てくるじゃん、それを見て逃げ道を確認しろって言ってるんじゃないかな」

腕を組み、首を傾げながらゆっくりと言った。

「やっぱりそうか」

「やっぱりって、予測できてたんかい!」

「いや、確認だよ確認。あのゲーム歴長いのは永太だからさ」

なんか自信がなかったんだよね。

だから友達にきいて、意見が一致したらそれが答えのように思える。

そんな確認さ。

「それじゃ今日早速ログインだな」

自信が付いた俺は永太にそう言った。

KARASってプレイヤーがTeam Xのメンバーなら必ず手掛かりが掴めるハズ。

そんなやる気の俺に対して永太は、

「んー今日は用事があるから先にやっててくれ」

なんともやる気のない返事だ。温度差を感じるよ。

「わかった、あっ!勉強するからログイン出来ないは無しだからな!」

「わかってるって。そんなことはしないから安心しな。遅れても必ずログインすっからさ」

3

「フッフッフー訳わかんねぇだろ」

カナタに向かって得意気な感じで言い放った。

しかしカナタは『それがどうしたの?』というような顔をしてた。

「え、全部理解してたけど」

言い切ったタイミングでチャイムが鳴った。

5時間目の教科担任が現れて「席につけー」と促してる。

カナタも自分の席に足速と戻っていった。

「ちょ、どういうことだ?カナタ!カナター!」

訳がわかってなかったのは、俺だったのかもしれない。

続く。

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ムツキ
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いつでもそこにいるブロガーを目指してる30代農家。 何でもアリの雑記ブログやケータイ小説などを書いてます。