前回まで、
NATSUHAの目的
1
NATSUHAの自己紹介が終わると、間髪入れずにPVを挑まれる。
- レベル46
- 体力150
- 得意武器は大剣
- 未だPV0勝
- レベル159
- 体力500
- 得意武器はハンマー
- ハネツキ
こんな実力差なのに、なぜPVを仕掛けてきたのかわからない。
弱いものイジメもいいとこだ。
- NATSUHA
- 貴様はこのゲームが好きか?
PV開始早々いきなりの質問。
しかも好きかどうかをきくなんて愚の骨頂。
- DINA
- 好きに決まってるだろ
でなきゃ睡眠時間削ってやろうなんて思わないし。
- NATSUHA
- そうかw
俺はてっきりPVで勝てないからつまらないと返ってくると信じていたのだがwww
イラッとする言葉だった。
- DINA
- ウルサイ!好きなものは好きなんだよ!
力強くキーボードを叩いて書いた。
手には汗、眉間にシワを寄せ、心臓は激しく動いている。
NATSUHAに図星を刺されて動揺しているのだろうか。
でも、信じたくはない。
だって俺は、
このゲームが好きだから。
- NATSUHA
- わかったわかったw
貴様がこのゲームを好きなのは認めようw - DINA
- 強がってなんかいないぞ!
俺の本心だ!
頭にきたので、NATSUHAの正面から切りかかった。
会話している今がチャンスだと悟ったから。
剣を振り下ろした瞬間、バック転で回避され、
大剣を構え直す大きな隙をついてタックルをしてきた。
もちろん回避することなどできずヒット。
画面の端まで吹っ飛ばされてしまう。
体力も一気に60減った。パワーが半端ない。
- NATSUHA
- おいおいw死ぬなよw
わざわざPVで会話しているんだからw - DINA
- なんだと!PVは戦うためにしたんじゃないのか?
- NATSUHA
- 貴様と話すためにPVにした
閲覧禁止にしているんだ
誰にもきかれないようにな - DINA
- なに!?
よく見ると、会話がシークレットモードになっている。
- NATSUHA
- 先程の続きだが、
俺はこのゲームが“嫌い”だ
ちょっと何言ってるかわからない。
- DINA
- 何を言っている
嫌いならやらなければいいだけの話だろ
そもそもNATSUHAの実力なら、対戦相手も簡単に倒せるし、負けることないから楽しいと思うんだけど。
全然勝てない俺には到底理解できなかった。
- NATSUHA
- 俺はな
このゲームに復讐するためにここにいる
2
復讐。
それは全く予想していない回答だった。
- DINA
- 復讐って、『復習』の間違いではなくて?
誤変換だと祈り、わざとふざけた文章を送った。
- NATSUHA
- 俺が復讐を誓ったのはただ一つ
NATSUHAは俺の言葉を無視した。
復習ではないみたい。
- DINA
- なんなんだよ、その復讐の理由って
恥ずかしいからさっきのはなかったことにして、あらためてきいた。
ログインしてでも復讐するなんて、とても強い恨みを持っているに違いない。
- NATSUHA
- このゲームが、俺の活躍を阻止しようとしている
それが復讐の理由だ
3
- DINA
- なんだよそれ
運営がNATSUHAのみを狙っているわけじょないだろう - NATSUHA
- 教えてやろうか
根拠と呼べるものは無数にある
ゲームがアップデートされるたびに、俺の使用武器の下方修正がされたり
最強武器『王家シリーズ』という武器にハンマーだけが未だに存在しなかったり
力の解放というスキルはレベル100以上のキャラクターにはつけることができなかったり
あげればキリがないがこんなところか
ここであげられた3つは、何度読んでみてもNATSUHAに不利なものばかり。
不満を抱くのもわかる気がする。
- DINA
- …ひどい
思わずNATSUHAに同情してしまった。
- NATSUHA
- だから俺は誓ったのさ
『Team Xが世界を変えていこう』と
この世界を手中に収めて新たな神になるんだ!
そのためだったらどんなことだってする!
今はその準備段階だ
耳障りのいい言葉で説明されたが、どこか違和感も感じた。
確かにゲーム自体から差別を受けているのなら反抗したい気持ちもわかる。
でもさ、
- DINA
- なんか、違う!
今感じた違和感をNATSUHAに向けてぶつけた。
続く。