前回まで、
Resetする?
絶対、絶命
4
- KILL°°BE
- ふざケるナぁwwwwwww
叫びながらKILL°°BEがまた向かってくる。
先程と同じ単調な攻撃。
俺も[また同じ攻撃だなぁww]とチャットの文章を打てるだけの余裕が出てきた。
流れ作業みたいに避けようと構える。
KILL°°BEは全力で走り、だんだんとDINAとの距離を詰めてくる。
不思議と緊張はしていない。
何度も何度も成功しているから、自信がついたに違いない。
3、2、1、と近づき、互いの距離が0になった。
(よし、今だ!)
攻撃を避けようとコマンドを入力したその刹那、チャットウィンドウに目がいく。
- KILL°°BE
- vwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwvwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwvwwwwwwwwwwwv
不気味に“w”の羅列が表示されていた。
何か嫌な予感がする。
しかし、時すでに遅し。
KILL°°BEはサブマシンガンに装備を変え、乱射した。
放った弾丸はバック転をしようとしたDINAに直撃。
ガードすることができず、弾丸の雨を浴びることになった。
マシンガン攻撃が終わり、今度は前蹴りを1発お見舞いされ、画面の端まで吹き飛ばされてしまう。
体力は一気に40ポイント失う。
ここまで一瞬の出来事すぎて、指が反応しない。
ガードはおろか、攻撃もさせてくれる余裕なんてもらえない。
先程までのKILL°°BEとは動きが明らかに違うんだ。
- DINA
- なんで!
このままだと俺が勝てるはずなのになんで! - KILL°°BE
- まだワからなイのか
おメでたいヤつww
KILL°°BEは倒れているDINAにゆっくり近づいてくる。
- KILL°°BE
- 確カにレベルの差はあル
それデも俺が押されて夕理由
オまえに合わせテ手加減してい夕からだヨwww
立ち止まってDINAを見下ろした。
その様子はまるで奴隷と王様そのものだ。
5
- DINA
- 合わせて手加減していただと!?
ふざけるな!今まで俺の方が優勢だったじゃないか! - KILL°°BE
- いツからオまえが優勢になったw
俺は夕だ体力を『くれてヤった』だけ
例エ体力が1だったとシても、俺はオまえに勝てるwwwww
さすがの俺もカチンときた。
レベル差があることは認めるが、上から目線で馬鹿にしてくる態度だけは許せなかった。
(今まで攻撃は当てられてたんだ、ならいける!)
コントローラをギュッと握り、起き上がりキックを仕掛ける。
KILL°°BEはDINAのキックを回避。
今度は連続でパンチを放つ。
数打てば一撃くらいはお見舞いできると思ったが、これも全て避けられる。
ならばと大剣に装備を変えて、何度も何度もKILL°°BEに立ち向かうが、当たらない。
別人かと疑いたくなる。
- DINA
- それなら!
これならどうだ!
DINAの体から虹色のオーラが放たれ、スキル[回転斬り大砲]を使った。
放たれた大剣はまるでミサイルのように一直線にKILL°°BEに向かっていく。
至近距離だから避けるのも難しいだろう。
しかしKILL°°BEは、その大剣を真剣白刃取りのように、両手で刀身を挟み込んでキャッチした。
ダメージはもちろん0。
- DINA
- なんで、当たらない、
攻撃が止まったことを確認すると、DINAに近づき再び前蹴り。
またもやDINAは画面の端まで吹き飛ばされてしまう。
- KILL°°BE
- wwwwwwwwwwwwwwvwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwvwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwvwwwwwwwvwwwwwwwwwww
- KILL°°BE
- wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwvwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
- KILL°°BE
- wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwvwwwwwwwwwwwvwwwwwwwwwvwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
チャットウィンドウに並ぶ無数のw。
明らかに俺を挑発している。
だが、攻撃すべてを避けられたショックで、戦意を失っていた。
- KILL°°BE
- オまえ、弱いンだよ
今マで出会った誰よリも
弱いクせにイキんなよクソガキ
そういうと、仰向けに倒れているDINAに馬乗りになり、killiNg saberを再び装備した。
6
killiNg saberを両手で持ち、刃先を下、つまりDINAに向いている。
そして大きく振りかぶり、DINAに向かって勢いよく下ろした。
「ダイナァ!!」
ディスプレイに向かって叫んでいた。ほとんど反射的にだ。
コントローラをガチャガチャ動かしているが、DINAはピクリとも動かない。
刺された箇所からは黒い飛沫が大量に飛んでいる。
しかし体力は減ってない。
DINAの体が少しずつ薄くなって消えゆくようにみえる。
- KILL°°BE
- コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
KILL°°BEはどこか楽しんでいるようにも見えた。
まるで殺すことが生きがいみたいな、そんな殺人鬼みたいな振る舞い。
俺はこの狂気に満ちた姿のKILL°°BEに対抗することができず、ただディスプレイを眺めている事しかできなかった。
「ダイナ!ダイナ!」
何度も何度も叫んだ。
DINAにも、もちろんKILL°°BEにも届くわけないのに。
- DINA
- やめろ!放せ!
- DINA
- 2めろ!5<せ!
- DINA
- 〒÷<*=は×4=
文章を打っても文字化けする。
俺の訴えは完全に届かなくなった。
「チキショウ…」
両拳で机を何度も何度も叩いた。
無力な自分に嫌気がさしたのもあるけど、1番大きかったのは、
KILL°°BEに[弱いクせにイキんなよクソガキ]と言われたことが辛かったから。
そしてDINAは、画面から完全に姿を消した。
同時に画面が暗くなり、元のデスクトップ画面に戻った。
中心にはウィンドウが表示されている。警告だった。
『エラーが発生したため強制的に終了しました』と書いてある。
続く。
コメントを残す