前回まで、
ビギナーハンター
1
- SEVEN
- ついたわ、この洞窟よ
SEVENは目的の洞窟の入り口付近に近づき、俺に教えてくれた。
始まりの街から少し離れた位置にある。
ここに辿り着くまでに、数々のNPCをSEVENさんと2人で倒してきた。
途中で力尽きそうになったことも何度もあった。
そのたびにSEVENさんが回復をアイテムを使用してくれた。
そしてまた、NPCに立ち向かう。
瀕死→回復→戦闘の繰り返しで進み続けた。
その横でSEVENさんは軽々と敵を倒していく。
レベルの違いを見せつけられて、少しブルーな気持ちにもなる。
でも諦めずに前に進んだ。
SEVENさんに助けてもらいながら。
2
この洞窟はとてもシンプルだ。
なぜなら分岐するところがひとつもないからだ。
例えば他の洞窟だと、たくさんの道が存在してそれを 選びながら前へ進んでいく。
途中で行き止まりってこともある。
だけど、この洞窟は今のところ分岐がなく、一本道で通っている。
洞窟というよりはトンネルと言ってもいいかもしれない。
- SEVEN
- 分岐がない洞窟を不思議に思っただろう
- JINK
- はい、まぁ
- SEVEN
- だから初心者狩りにはちょうどいい場所なのだ
トンネルみたいに一本道だから迎え打つのも簡単
シンプルに食虫植物ぜよ
(なるほど、ここは他のプレイヤーを襲うのにちょうど良い場所ってことか)
- JINK
- でも例えがビミョーでしたねw
ゴ○ブリホイホイでよかったんじゃないですかw - SEVEN
- 拙者を時代遅れの人にみたいに言うな!
サムライがモデルのキャラクターに時代遅れといわれてもなぁ。
説得力なさすぎて困る。
しかし、罠だとわかっていても進んだ。
この洞窟の奥には必ずKAHLUAがいることは間違いないから。
3
退屈な洞窟を進んだ数分後。
SEVENさんは突然歩くのをやめた。
立ち止まった理由はすぐにわかった。
KAHLUAを見つけたのだ。
しかし、俺のパソコンからはKAHLUAを確認してすることはできない。
近づきすぎると見つかってしまうから、SEVENさんの画面ギリギリの位置にいると教えてくれた。
そしてSEVENさんは[早速KAHLUAとPVをしてくれないか]という無茶振りを要求してきた。
俺はすぐに[無茶ですよ!おれのPVの実力はわかっているでしょ!]と反論した。
俺がゲームを挫折したのもPVで勝てなかったからが理由だし、なによりいきなり戦ってこいは鬼すぎる。
必死になって言い訳を並べたみたものの、SEVENさんの答えはただ一つ。
[わかっている!だからこそ行けというのだ!]
まさに鬼畜の所業だった。
4
少し歩き、画面をスクロールさせると、1体のキャラクターが見えてきた。
青と銀が綺麗に混ざった鎧をまとい、右手には槍を装備している。
キリッとした顔立ちに、逆立ってる蒼い髪。
背中には白い羽根がある。ハネツキだ。
ポインタを合わせて名前を確認すると浮かび上がったのはKAHLUA。
「こいつが、KAHLUA」
おもわずパソコンの画面に向かって呟いた。
ハネツキは強者の証だし、なによりJINKのレベルじゃとてもじゃないけど太刀打ちできない。
完全に自殺行為だというのはわかる。
だけどここで引き下がったら、男として情けない。
俺は頬を両手でパンッと一回叩き、コントローラを握り締め、KAHLUAに向かって走り出した。
つづく。
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