前回まで、
蒼鎧と鎖槍
7
力の解放によって負けるだと。
確かに、力の解放は自身の体力を犠牲にして能力値を上げている。
JINKの体力は残り少ないものの、こちらが有利なのは変わらない。
あと一撃で俺の勝ち、だから体力が底をつく前に決着をつけなければマズい。
焦る気持ちを抑えられず、全力でダッシュした。
KAHLUAの攻撃は遠距離からチェーンランスを飛ばすだけだったから、チェーンランスさえ回避できればなんとかなると考えてた。
そして近づいて大剣ぶん回せば当たるだろうくらいの軽い気持ちだった。
だけどその期待は叩きつけられたガラスのように、粉々に砕け散った。
目標であるKAHLUAの体から、虹色のオーラが放たれていたからだ。
8
しかし、突撃を止めることはできない。
もうヤケになった俺はそのまま『回転斬り』を仕掛けるも、KAHLUAはジャンプで背後にまわる。
今までの動きとは別もので、額に汗が滴る。
「クソッ!」
俺はコントローラを力強く握り、攻撃ボタンを連打する。
恐怖と焦りで周りが見えなくなり、JINKはまるで壊れたオモチャのように攻撃を繰り返す。
ぶん回したり、振り下ろしたりと様々な攻撃を仕掛けるも、どれもスルリと避けられる。
鎧で動きは遅いはずなのに。
それよりも、いつ発動するかわからない必殺スキルが気になり、集中できない。
(はやく、はやく一発当てないと、体力が)
体力のカウントダウンが勝利から死へと切り替わる。
5
4
3
2
そしてついに体力は1になってしまった。
9
JINKをまとっていた金色のオーラが消え、その場にうずくまってしまう。
コントローラをガチャガチャ動かしても、ピクリとも動かない。
これじゃあ、白旗をあげているのと一緒だよ。
虹色のオーラを放ち続けているKAHLUAがゆっくりと近づいてくる。
- KAHLUA
- 残念だったね
あともう少しだったのにねw - JINK
- なぜだ!
最初は余裕で倒せると思ったのに! - KAHLUA
- 初心者は僕の動きを見て油断する
だから力の解放も相まって
攻撃が単調になるのさ
早く終わらせるという気持ちが
攻撃にでていたぜw
KAHLUAのチャットが、俺の気持ちを全て表していた。
図星で何も言い返せなかった。
[さて、終わりにしよう]というチャットのあと、スキル『チェーンスロウ』を発動。
KAHLUAのチェーンがJINKをグルグル巻きにし、ブンブンと振り回し空中へと投げ出された。
つづく。
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